2015年12月25日金曜日

八千代中央駅周辺、母と共に。

 
今日は、今年最後の母の通院の日。

母と共に、八千代中央駅下車。

陽射しが春のようにぽかぽかと暖かい。

いつもは、ついつい母をせかしていることが多いのだが、

この暖かさのせいか、ゆっくりと母と歩くことを楽しめた。

今年の年末は、「のんびり過ごしたい」と、

あえて予定を入れないようにしていたこともよかったにちがいない。






















この「月に1回の通院」が5年近く続いている。

住まいの周りにも、内科のクリニックはたくさんあるのに、

なぜ時間も交通費もかけて隣の駅まで行くのか、と問われれば、

通院は母の運動を兼ねているから、と答えていた。

「でも、この場所を選んできたのは、それだけではない」。

今日、改めて思った。



Hクリニックの待合室では、

ゆったりと腰かけられるソファ、壁に掛けられた絵、

母の相手をしてくれるペッパーくん。

待つ時間も心を癒す装置が整っている。

何よりも、クリニックの医師とスタッフたちのやわらかい物腰がありがたい。

月に一度のこの時間は、いまでは生活の節目をつくる行事のようになっている。


















診療終了。

次は、隣の調剤薬局(ここの薬剤師さんたちもやさしい!)。

「ありがとうございました~」の声に送られて外へ出る。

左を見ればすぐに、クリニック、薬局の並びに

洋菓子店があり、





















レストラン「カフェ・コンチェルト」がある。

今日は、検査のために朝食をぬいてきたので、ここで食事をすませよう。

























通りを渡って、向かい側の歩道を歩けば、花屋さん。































赤い実をつけている街路樹のはなみずきは、

季節ごとの表情が楽しい。

























花屋さんの隣にはケーキ屋さん。

駅前にはもう一軒イタリアン。





















歩道の幅は、車道よりも広く、安心。

車椅子や歩行器を使って高齢者がゆっくりと歩ける。






















電車に乗る前に、「白妙」で買うのは、お土産の和菓子。


























































来年もこうして、たくさんの人やモノに元気づけてもらいながら、

母との日々を過ごすことになるのだろう。

年の瀬、母と私をとりまくものに、あらためての感謝を贈る。

いつも本当にありがとう。



2015年11月27日金曜日

銀座つれづれ散歩


「鰻が食べたい!」

病人と老人相手に、うす味でやわらかいものばかり

食べていたせいだろうか、突然そう思った。

友人に付き合ってもらって、銀座5丁目の「竹葉亭」へ。











13時少し前。

あまり待つこともなく、2階の席へ通された。







































うな重と、きも吸を頼んだ。

たれは、甘さがちょうどよくさっぱりした感じ。

願いが叶って満足まんぞく…。

食後は、西五番街のナカジマアートへ。





















97才を迎えてもなお新作を発表し続ける画家・堀文子さんの

個展を拝見。

小さなギャラリーの中は、ファンと思しき女性たちで

溢れていた。

 





































外へ出ると、今日は快晴。風も気持ちよい。

ならば歩きたい。

と、いつものように散策モードになった。

新橋方向に歩いてみる。












































銀座には、漆器の店や盆栽の店、和小物の店など、

眺めているだけでも楽しいお店も多い。



 

ビルのまにまに、古いものが突然現れて、

不思議なタイムスリップをすることもある。

何よりも、うれしいのは、和菓子屋さんや甘味処が多いことである。

今日は、「立田野」のあんみつが食べたくなり、7丁目へ。

ところが、「とらや」と「源吉兆庵」のあいだにあったはずの店が

なくなっていた!

もう「立田野」の味は銀座では味わえないのか。

残念。

しかし、気をとりなおして、

ここまで来たのだから、8丁目の「萬年堂」を訪ねようと思いつき、

中央通りを渡り、三原通りへ入ってみた。

あったはずの場所にない!

しかし、こちらは5丁目への移転であった。

新しい店舗は、コアビルの1階、あずま通り側にあった。






























新装開店は先月のことだという。

地下鉄銀座駅に近くなって、こちらの方が便利とも言えるが、

古い店舗のたたずまいが、とても懐かしい。

気になっていた「喜のつゆ」という、蕨粉と葛粉と黒糖を使った

お菓子を買う。


















期待通りの優しいお味で、

西一番街の「「うおがし銘茶」で求めた抹茶「ことのは」と

とても相性がよかった。



2015年6月18日木曜日

ベランダの植物たちの存在


歩いて15分の距離の京成バラ園まで、
バラの咲き乱れる季節でもあり、
足を運ぶことが多くなった。

母と散歩をしたり、
自分の健康のために歩いたり、
バラ好きな友人を案内したり。

そのついでに、
園に併設されたガーデンセンターへも
立ち寄る機会が増えた。

バラ以外にもたくさんの植物の鉢植えや苗を売っているし、
ガーデニングに必要な道具類が揃っていて、
ガーデニング好きにはたまらない場所である。



















最初は見るだけだったが、
次第にひとつふたつと、苗、鉢、土を買い、
せっせとマンションのベランダへと運ぶようになった。
1ヶ月くらいたった今、
そこは、ガーデニングを楽しむための秘密の、小さな空間になってきた。

近所のバラ園との付き合いが、
少しずつ少しずつ生活の中にも入りこんできた感じである。























伸びすぎたり、混んできたりした花や葉は摘んでガラスの器に挿し、
家の中で眺めて楽しむこともできる。





























ハーブ類は料理の彩りにもなってくれる。




 
ベランダはよく風が通り日も当たり、
思っていたよりも乾燥が早いので、
暑い日は朝夕に水やりする。
アブラムシを見つけたらすぐに水で洗い流す。
元気がなければ入念にチェックする。

毎日のちょっとした変化に一喜一憂。

ベランダにしゃがみこんで、植物の姿を眺め続けていると、
あきることなく時間が過ぎる。

買った苗にたいてい付いてくる、
植物の名前と育て方が書かれた札は、
土を落として綺麗に洗い、
ノートに貼りつけて時々取り出して見ている。



 
ベランダの片隅の鉢植えの植物たちは、
こうして徐々に私の生活に入り込んできた。
 
そして気がつけば、
「日々隣りにいてくれる」存在になりつつある。
 
 
 
 
 

2015年2月28日土曜日

三軒茶屋・世田谷パブリックシアターで「藪原検校」を観る


世田谷パブリックシアターで、
井上ひさし作・栗山民也演出の「藪原検校(やぶはらけんぎょう)」を観た。

井上ひさしの戯曲は、演劇鑑賞に最近夢中のわが娘と共に、
昨年の9月新宿サザンシアターで初めて観た。
「きらめく星座」という芝居である。





















言葉の、これでもかこれでもかという積み重ねのうちに、
次第に井上ひさしワールドに引き込まれている。

その快感を再び味わいたくてたまらなくなった。
そして今日、再び娘と共に観る。

「藪原検校」の筋書きは何も知らず、なんの知識もなかったが、
あっという間にその時代、その世界に引き込まれていった。








































野村萬斎の演じる主人公・杉の市(二代目藪原検校)は、
彼以外にこの役をやることはむずかしいのではないか、と
思えるほどのはまり役だった。

杉の市は、悪行の限りを尽くして、最後は無残な死を遂げるが、
「処刑されてもやむをえない悪人だ」と思いながらも、
杉の市の死に自分自身もかかわったような辛い思いが重なる。

空間・脚本・役者etc.…素晴らしいエレメントが響きあう、
素晴らしい演劇体験ができた。





















世田谷パブリックシアターは、
東急世田谷線駅の上に建つキャロットタワーの3階にある。

キャロットタワーは今や三軒茶屋のランドマーク的存在。


























世田谷線の駅は、見違えるような空間になっていた。







































下高井戸から三軒茶屋をつなぐ世田谷線。
かつて利用していた際は緑色だったなぁ。
その頃は「タマデン」と呼ばれていた。

2両編成であることには変わりはないが、
ピンク、ブルー、イエローとカラフルな色合いになり、
思わず乗ってみたくなる楽しげな姿になっている。

街中をこうした電車が動いていく風景は、
思いがけない空間を創り出し、街を個性ある顔にする。
「どこへ行っても同じ」は、一番がっかりさせられる。







































駅周辺もとてもおしゃれになっていた。
13時半の芝居の前に、世田谷線改札口からすぐの「カフェマメヒコ」でランチ。






 
大豆ハンバーグのランチをいただく。
食と安全、食とアート、食とコミュニケーション、
食を中心にして、さまざまなコンプトを同時に発信している店だった。


















 
















芝居がはねてからは、時間は限られていたが、せっかくのチャンスと思い、
「江戸五色不動」のひとつ「目青不動」に立ち寄った。

三代将軍徳川家光が江戸府内の名ある不動尊を
目白、目赤、目黒、目青、目黄と指定したと伝えられている。
五色とは[目」の色ではなく、東西南北中央の五方角を示したものだそうだ。

「目青不動」は、現在は教学院(世田谷区太子堂4丁目)内にあるが、
もとは港区麻布谷町(現六本木)の勧行寺(または正善寺)にあった。
1882(明治15年)青山南町にあった教学院に移転。

教学院の創建は1311年。
初めは後に江戸城内となる紅葉山の位置にあったが、
江戸城築城により麹町に移され、その後も赤坂、青山と移転し、
1910(明治43年)三軒茶屋に移転したそうだ。




























 

境内で見つけた大きな頭を逆さにして咲く枝垂れ椿。

見事な大きさなのだが、自分の重さで逆さになってしまう椿の花。
舞台の中の杉の市の最後の姿と重なってしまった。





















芝居もよかったが、
久々の三軒茶屋周辺散策は懐かしさもあり、
楽しい時間だった。