2013年5月30日木曜日

熊本の酒「菜々」


日本酒をいただいた。

熊本市にある慶応3(1867)年創業の老舗酒蔵、
瑞鷹株式会社(ずいようかぶしきがいしゃ)の
純米酒「瑞鷹 純米酒 菜々(さいさい)」。

阿蘇の伏流水と熊本酵母、
そして近年生み出された九州生まれの酒米「吟のさと」を
100%使用してつくっている。
「吟のさと」は“菜の花米”だという。

菜の花のお米とは?

菜の花の色を楽しんだあと、緑肥として土にすき込んで、
出来上がったお米のこと。
化学肥料の量を減らした、環境によい稲作の方法によって
つくられたお米なので安心だ。


日本酒は、美味しい酒の肴があってこそ。
今日は、ありあわせの材料で急きょ作ることにした。

鶏のモモ肉は、先日プロに教わった通りに焼いてみた。

テフロン加工のフライパンにオイルを敷かずに、
温まらないうちから(ここがミソ)、
鶏肉の皮目の方を下にしておき、弱火でじわじわじわじわ焼く。

鶏肉一枚を30~40分かけて火を通した。

皮目側からほとんど全体に火が通った状態になったころ、
最後にひっくり返す。
火を止め、鶏から出た油を切って、そのまま5~6分休ませておく。
塩コショウはこの時にする。

皮はしっかりパリパリ、全体的に鶏肉の味が濃厚で、
ジューシーな焼き具合になる。

どうぞお試しを。





2013年5月28日火曜日

上野広小路・鈴本演芸場で落語を堪能。味わいのあった三遊亭歌奴「質屋蔵」

落語を久しぶりに聴いてみたくなって
上野広小路にある鈴本演芸場へ出かけていった。




17時30分から始まる夜の部に
松坂屋の地下で買ったお弁当を持って入った。
神田明神下「みやび」の「平次弁当」。
夕方のサービスで1300円が1000円になっていて、
その上美味しかったので、言うことなし!




冷酒やビールを持ってきている人がちらほら目に付いた。
次回は、日本酒も忘れずに持って来よう、と思った。
落語を聴きながらちびちびと、なんて想像するだけでもいい気分。

トリは、三遊亭歌奴の「質屋蔵」。
さすがにかっちりとしたいい芸だった。
呉服商から勧められて、繻子の帯を買ってしまう
長屋のおかみさんの気持ちに共感するうち、
いつのまにか、自分自身も江戸の町衆になっている。
登場人物たちの顏までも浮かんでくるから
落語という話芸はすごい。

江戸時代にワープできる、この空間は、なんとも気持ちがいい。




終了は20時40分ごろ。
夜風が気持ちのいい季節、お腹も心も程よく満たして、
家路についた。

落語、また聴きたい。

2013年5月23日木曜日

京都南座で、海老蔵の『伊達の十役』を観る

市川海老蔵の『伊達の十役』を観に、日帰りで京都に行った。



『伊達の十役』については、文化12年7月江戸の河原崎座で、
七代目市川團十郎が早変わりの大奮闘をした、との記録はあるが、
全く台本が残されていない。

この芝居を164年ぶりに復活させたのは、
市川猿翁(三代目市川猿之助として、昭和54年4月明治座にて初演)。

「“復活”というよりも“創作”に等しい」とご本人が語っている。

この芝居を海老蔵が、ぜひやってみたいと強く希望し、平成22年正月、
新橋演舞場で初演。

その演目が今回、京都の南座で上演される!!!
 
「これはゼッタイ観たい」という気持ちが膨らみ、
膨らんで、抑えようもなくなり、ようやく日にちをひねり出し、
「日帰り京都芝居見物」を計画した。

観たい演目は夜の部だが、
どうせなら新歌舞伎十八番『高時』と歌舞伎十八番『鎌髭』も
ちょっと欲張って観よう、と昼の部のチケットも押さえた。



朝、4時に起きて、きものを着る。
始発電車で東京駅に向かう。
空は快晴。
久しぶりの京都行きに心も弾む♪♪♪

新幹線の中でのお弁当は、お江戸らしい「深川めし」に…。





9時少し前に京都駅着。
帰るときは時間の余裕がなさそうなので、
お土産の宇治の新茶や京都らしい和菓子を先に購入した。

さて、南座まではどうやって行こう?
11時に始まる昼の部まではまだ時間がある。
四条河原町、歌舞伎の発祥の地を訪れるのだから、
鴨川や、歴史ある南座の建物をゆっくりと眺めながら、
京都へやってきた喜びに浸りたい…と思った。
 

地下鉄を乗り継いで三条まで行く。
地上へ上がると、真夏のような日差し。
強く日が当たる鴨川べりから、しっとりと水を打って静かな先斗町へ。
いいなぁ、やっぱりここは京都、赤い提灯がなんだか艶っぽい。





四条大橋から眺める南座は、
最近「お色直し」をした真っ白な銀座歌舞伎座を見慣れている眼には、
少し黒ずんでくたびれて見えたが、
近づいていくと、狭い入り口付近は歌舞伎を愛する人たちが殺到し、
銀座歌舞伎座に負けないくらいの活気に包まれていた。









 
さて、お目当ての『伊達の十役』は、
想像していた以上にスピーディな動きと、
虚をつく早変わりシーンがふんだんに盛り込まれた、
大スペクタクルだった。

夜の部は16時に始まり終演は20時30分の、
約4時間、その間、海老蔵はほとんど出ずっぱりで、
40回以上の早変わりシーンがある。
また、善悪あり、男女ありの、それぞれの性格の10人を、
演じ分けなければならない。
瞬間的に衣装が替わるだけでなく、顔が変わり、声が変わる。

海老蔵の挑戦に声援と拍手を送り続けた。





最初の、登場人物たちの関係を紹介する「口上」、
ここにも海老蔵らしい魅力が表れていた。
観客との距離を縮めようとする、彼独特の「人懐っこさ」が感じられた。

途中、乳母「政岡」の場面だけはテンポを変えて、しっとりと見せる。
ここが海老蔵にとっては一番苦労したところかもしれない。

あとの早変わりシーンは、とても軽やかに楽しそうに演じているように見えた。

驚き、興奮している間に終演。余韻に身を委ねていたい…。
しかし、新幹線の時間を考えて、大急ぎで立ち上がり、
劇場の外に出てタクシーを拾う。

飛び乗った新幹線の中で一つひとつのシーンを思い出す。
これは…観にきて本当に本当に良かった。
そして、この芝居を新たに現代に甦らせ、
演出を手掛けた猿翁に対する尊敬の念も同時にわいてきた。

ブラボー!成田屋も澤瀉屋も応援するぞぉ~。